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電子書籍を考える出版社の会は設立10周年を迎えました

2020年6月8日、電子書籍を考える出版社の会は設立10周年を迎えました。

当会は、10年前の6月8日、14社の出版社が集まり設立しました。この年はここ日本でも初代iPadが発売され、スマートフォンに加えてスマートタブレットがユーザの手元に届き、スマートデバイス幕開けの年となりました。それとともに、テキストと画像だけではない、さまざまな技術を駆使したコンテンツの開発の可能性が広がった年でもあります。

しかし、一足飛びに電子出版の華やかな世界が迎えられたわけではありません。“紙の出版物の電子化”という制約の中、私たち出版社として何ができるかを試行錯誤した時期もありました。そして、2年後の2012年に楽天Kobo、Amazon KindleをはじめとしたEPUBを対象とした電子書店がオープンし、電子化した出版物が読者の皆さまにより効果的にお届けできる環境が整備され、日本の電子出版市場が大きく花開き始めました。

2010年代後半には、電子書籍・雑誌を含めたデジタルコンテンツが一般化し、さらに、電子書籍や電子雑誌を1冊ずつ購入する従来型の購読スタイルから、自分が読みたいときに読みたいタイトル・内容を選ぶサブスクリプション型の購読スタイルが普及し、スマートデバイス上で運営されるさまざまなコンテンツプラットフォームを利用した無料の読書が可能になるなど、この数年で一気に購読体験の多様化が進みました。その後の電子出版の動向、そして、電子書籍・雑誌の普及は多くの方々がご存知のとおりです。

そして、これは誰もが予想し得なかった出来事として、2020年初頭から全世界で猛威をふるい、今もなお、各国で対策が練られ、ここ日本でも“新しい生活様式”へ移行するきっかけとなった新型コロナウィルスの蔓延。日本では緊急事態宣言が出るほどの厳しい中で、改めて、デジタル・オンラインの考え方、意識が高まったのは事実です。

そのような中、私たち電子書籍を考える出版社の会では、「これからの時代に最適な電子出版への取り組みとは何か」を会員社を中心に、関係各所と話し合いながら、出版社の立場として日本の出版業界の健全な進化を目指すべく、日々研鑽し、電子書籍・電子雑誌を含めた出版物を、市場、そして読者の皆さまに適切に提供していくために、これからも取り組んでまいります。

今後とも電子書籍を考える出版社の会をよろしくお願いいたします。

電子書籍を考える出版社の会 代表幹事
馮 富久(株式会社技術評論社)